書くスキル
このブログの読者は20代から30代の社会人と思います。この層が、仕事のスキルに最も関心のある層と思うためです。
自分の考えを分かりやすい文章にして、相手を説得したり、動かしたりしたいと感じることはないでしょうか。私は20代の頃、そうしたいと思っていました。また、いくつかの職場を経験し、書くスキルが醸成されていない人が多いとと感じます。そこで今回は、なぜ書くスキルが育たないかについて考察します。
理由は3つあると思います。
1.学生時代に書く訓練を未経験
2.口頭で済ますことを良しとする企業文化
3.企業に書くスキル習得の仕組みがない
1.学生時代に書く訓練を未経験
日本では、小中高大学にライティングの講義がないと思います。近そうなのは小学校の作文ですが、これは起承転結で書くことを勧められるものです。ビジネス文章は、多くの場合、結論を初めに明快に述べることが求められます。起承転結は不要です。
2.証跡となる文章を残さないのを良しとする文化
多くの企業を見て、証跡になりうる文章を残さない文化があるように思います。例えばある金融機関では、ユーザー対応時のメールには社員がクロスチェックする一方、電話対応は個人が自由に行います。これは、証跡として残るメールで下手なことは言えないためだそうです。
3.企業に書くスキル習得の仕組みがない
事業会社には、書くスキルを磨くための仕組みや環境がないと感じます。書いた文章を上司が確認することはあっても、赤入れされて文を変えられるに留まり、文の書き方を体系的に学ぶ機会はないのではないでしょうか。コンサル業では、レポートが納品物ですので、書く前の考え方から一通り、業務と研修を通じて学びます。
今度、どうしたら書くスキルが上がるかについて書こうと思います。
アマゾンダッシュボタン
アマゾンジャパンは、5日からアマゾンダッシュボタンの販売を開始しました。
これは、商品別のボタン付きデバイスによるサービスで、このボタンを押すとアマゾンに当該商品が自動で注文されます。デバイスは、500円で初回注文が500円引きのため、デバイス代は実質無料です。
アメリカでは同サービスが人気のようですが日本で売れるでしょうか?私は売れないと思います。
理由は3つあります。1つは、日本はコンビニが多いために、いつでも気軽にリアル店舗で切らした商品を買えるためです。2つは、商品別のボタンを家に置くスペースがアメリカの家庭に比べてないことです。日本の家庭で狭いスペースにボタンを置くと雑多な印象を受けます。
3つは、昨今のものを持たないブームです。片付けやジョブズのものを持たない生活に関する本が売れている様です。
今後の販売動向を見て、結果を確認したいです。
戦後経済
海外の方と話す際、日本についてよく聞かれます。流行り物の話はできるのですが、歴史の話になると、間違ったことは言えないために自分の意見が言えないことがあります。そこで、まず経済史について勉強しようと思い、野口悠紀雄氏の戦後経済史を読みました。経済史の羅列ではなく、氏の現在の経済への示唆もあり面白かったので紹介します。
氏は、国の経済介入の好ましい度合い、つまり自由経済と計画経済のどちらがよいかについては、その時代の技術を背景にした産業構造に依ると、主張しています。
例えば、戦後の1940年代に、日本は、重化学工業や鉄鋼業といった規模の経済が働きやすい重工長大産業に、国家主導で資本を集中投下し、経済発展しました。一方、同時期にアメリカやイギリスは、経済に介入せず産業を市場に任せた結果、日本に競争力で劣り、経済が停滞したとしています。
そして、インターネットの普及により情報流通コストが激減し、大企業と中小企業の事業運営コストに差がなくなった現代の産業構造においては、自由主義経済の方が適しているというのです。アメリカでは、Googleやアップルといった情報活用企業が時価総額上位を連ねています。アメリカは市場を民間に委ねています。一方、日本では、新興国の躍進の影響を受けざるを得ない製造業が未だにGDPの多くを占めており、円安誘導がそれを後押ししています。
また氏は、円安誘導を批判しています。円安による輸出企業の売上増→株価増は見かけに過ぎないと。当然、円安により輸入の負担は上がります。私も、自国通貨が弱くなるのを喜ぶ現代の風潮に違和感を覚えます。
戦後経済=計画経済が、時代に合わなくなり、それに気付かないことが不況の原因という主張に納得しました。