戦後経済

海外の方と話す際、日本についてよく聞かれます。流行り物の話はできるのですが、歴史の話になると、間違ったことは言えないために自分の意見が言えないことがあります。そこで、まず経済史について勉強しようと思い、野口悠紀雄氏の戦後経済史を読みました。経済史の羅列ではなく、氏の現在の経済への示唆もあり面白かったので紹介します。

 

氏は、国の経済介入の好ましい度合い、つまり自由経済計画経済のどちらがよいかについては、その時代の技術を背景にした産業構造に依ると、主張しています。

 

例えば、戦後の1940年代に、日本は、重化学工業や鉄鋼業といった規模の経済が働きやすい重工長大産業に、国家主導で資本を集中投下し、経済発展しました。一方、同時期にアメリカやイギリスは、経済に介入せず産業を市場に任せた結果、日本に競争力で劣り、経済が停滞したとしています。

 

そして、インターネットの普及により情報流通コストが激減し、大企業と中小企業の事業運営コストに差がなくなった現代の産業構造においては、自由主義経済の方が適しているというのです。アメリカでは、Googleやアップルといった情報活用企業が時価総額上位を連ねています。アメリカは市場を民間に委ねています。一方、日本では、新興国の躍進の影響を受けざるを得ない製造業が未だにGDPの多くを占めており、円安誘導がそれを後押ししています。

 

また氏は、円安誘導を批判しています。円安による輸出企業の売上増→株価増は見かけに過ぎないと。当然、円安により輸入の負担は上がります。私も、自国通貨が弱くなるのを喜ぶ現代の風潮に違和感を覚えます。

 

戦後経済=計画経済が、時代に合わなくなり、それに気付かないことが不況の原因という主張に納得しました。